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3月28日、富士市の中学陸上部を対象としたコンディショニング講座を開催しました。
講座のテーマは「コンディショニング」、日頃のセルフケアから大会に向けたコンディション計画まで、幅広く活用できる知識と技術を伝えられるように準備をしました。
対象が中学生のため、専門的な知識や技術を紹介する形は取らず、コンディショニングの大枠について紹介をして、コンディショニングに取り組むキッカケ作りとなるように注意をしました。
今回ご依頼いただいたのは治療院の近くにある中学校、顧問の先生は私と同じチーム【PEAKS】に所属をしています。
以前から交流がある熱心な先生で、ケガをした生徒さんに治療院を紹介していただく事もありました。
そのお礼も兼ねて、いつか何かの形で部活動の役に立つことができればと考えていました。
先日、治療院で先生の施術を行った際に部活動の話を訊き、セルフケアなどに課題がある事を知りました。
そこで私から講座についての話を持ちかけ、今回のコンディショニング講座の開催が決定しました。
講座開催の目的は大きく分けて3つ、
- 先生を含めて正しいコンディショニングについて知ってもらう
- 治療院の活動や治療家/スポーツトレーナーの仕事を知ってもらう
- 中学陸上の課題や選手の悩みについての調査
今までの講座と同じ目的です。
内容としては、冬に開催してきたWFセミナーから引用しつつ、より簡潔に伝えられる様に組み直しました。
座学でコンディショニングの大枠に触れて、その知識を活用しながら実技の紹介を行う流れとしました。
当日の内容
今回は以下の流れで講座を進めました。
- 講師あいさつ/スポーツトレーナーとは?
- コンディショニングの基礎知識
- セルフケアの基礎知識
- ストレッチの基礎知識
- 正しい筋肉痛とケガの見極め
- アイシングと応急処置
- アイシング/セルフケア実技
講師あいさつ/スポーツトレーナーとは?
今回は初めて会う生徒さんが大半のため、自己紹介を特にしっかり行いました。
普段何をしているのか? 陸上競技とどのように関わっているのか? 治療院では何をしているのか?などを簡単に話し、この先の講座内容が陸上競技に則した内容で組まれていることを知ってもらいます。
ただスポーツに詳しい治療家がセルフケアを紹介するのでは、目的意識が少し遠のいてしまいます。
競技に特化した治療家が紹介することで、より講座の本質を意識しやすくなると考えました。
また、私を知ってもらうことで、治療家やスポーツトレーナーという仕事を知ってもらう目的もありました。
実際の活動を紹介しながら、スポーツに関わる裏方についての職業講話の形を取りました。
コンディショニング〜ストレッチの基礎知識
どのセミナーや講座においても、この項目は大体話をしている内容です。
その都度表現を微妙に変化させていますが、基本となる知識は大きく変わりません。
場合によってはイラストを描いて解説したり、道具を使って視覚的に理解してもらうようにします。



今回は初の試みとして、私が高校時代に行っていたコンディショニング計画を紹介しました。

時系列を書き出し、レース当日に向けて1週間かけて行っていたこと、この方式が完成するまでに1年かかったことなどを、成功体験と失敗体験を織り交ぜながら紹介しました。
中学生にこのスキルを求めることは難しいため、勝つための計画の重要性や、上のレベルで競技を続けるキッカケとして、意識づけができればと思っています。
正しい筋肉痛とケガの見極め
中学生から相談を受けることが多いのは、運動後の筋肉痛についてです。
筋肉痛を早く治す方法、筋肉痛を起こさないための方法など、治療院や現場で動いているとよく質問されます。
実際に筋肉痛の経験があるか訊いてみると、大半が筋肉痛の経験があると答えました。

筋肉痛は悪者扱いされますが、私はプラスに捉えることが多くあります。
正しく筋肉痛を起こすことが体の成長に繋がり、トレーニング強度を図る指標にもなります。
しかし、一歩間違えるとケガを起こしている状態と変わりません。
私が学生の時に筋肉痛に悩むことが多い、そして、シーズンインが近づくにつれて頻度が多くなると考えたため、+αとして解説をしました。
アイシングと応急処置
少しずつ内容が実技に近づいていきます。
もしケガをしたらどのように対処するか? 医療機関にかかるまでの正しい流れとは?
これらを踏まえながら、一番最初に行う処置のアイシングの解説をしました。
学校では今でも「RICE処置」で習っている様です。
せっかくなので、RICEからどのように理論が変わっているのかを解説して、

現在主流となっている「POLICE処置」と「PEACE&LOVE」についての違いを話しました。
それぞれのメリットに触れて、実際にケガをしたときの使い分けを、肉離れなどを例に出しながら紹介しました。
ここでは、実際に治療院にかかるまでの流れを例に、施術する側がやって欲しいことを踏まえて解説します。
人によって方法は様々ですが、私が理想としていることは、どの症状であってもある程度対応できると思います。
また、実際に私がトレーナー現場で体験したことを例に出して、次の実技で行う内容を明確化しました。
アイシング/セルフケア実技
まずは座学の続きでアイシングの紹介から。
様々な氷や氷のうの準備方法を紹介して、実際に冷やす際の注意点、効率良く冷やすポイントなどを見せました。


続いてセルフケアの紹介。
今まで学生を相手に紹介するときは、「10分ストレッチ」と名付けてストレッチを10種類紹介してきました。
今回は大きく形を変えて、
- 筋肉の作用/確認方法
- ほぐすorストレッチor両方
筋肉ごとにアプローチ方法を変えて紹介する方式を取りました。
アプローチをかける筋肉がどのように走りに影響しているのか?どのようなルートで動きを作るのか?
これらを知っているだけでも、セルフケアの質は格段に上がります。
中学生でも最低限知っておくべき筋肉、言い換えるとケアが必要となりやすい部位を中心に、見本を見せながら解説をしました。


ストレッチは実際に見本を見せてから、選手たちに実践してもらいます。
筋肉の役割→正しいストレッチ手順→間違った方法 の順番で解説して、確実な方法で伸ばせる様に注意します。


実践中は先生方が周りながら確認してくれたので、より確実に実践できていたと思います。

特にアプローチが難しい部位はレベル別にストレッチを用意して、より実践しやすいものでストレッチを行いました。


用意していたセルフケアはまだありましたが、種類が増えて大変になりそうだったので、少し内容を減らして実技を終わりにしました。
3時間に渡ってコンディショニングについて話をしてきましたが、あっと言う間に終わった感じがします。
中学生はリアクションが良く、積極的に質問をしてくれる子も何人かいました。
様々な場所で講習会を開催してきましたが、今回が一番楽しく講座を進めることができました。
途中でセルフケアに関するアンケートを記入してもらい、治療院で集計をしました。
より中学生の課題が浮き彫りになり、今回紹介した知識や技術が役立つ部分、別の方法が適している部分がありました。
今後機会があれば、改めて紹介したいと思います。
先生方からも好評の声をいただき、講座としては成功だったと思います。
ここから先は選手たちの頑張り次第です。
ここで関わりを持った選手たちの大会結果を楽しみに、その先に繋がるアプローチを考えていたいと思います。

※写真は学校および生徒さんの許可を得て掲載しています。
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