6月15日に開催された関東マスターズ陸上に、トレーナー帯同をしてきました。
今シーズン初のマスターズ帯同、軒並み強い選手が集まる関東地区への参戦です。
会場は埼玉県熊谷市、遠方のため2日間に渡るサポートとなり、前日練習から選手たちのコンディションを仕上げることができました。
回数を重ねた前日調整
前日練習は数人の選手が集まり、私のコンディショニングから調整が始まります。
今回サポートに入る選手たちは、日頃からメンテナンスを行っています。
選手の要望は予め把握しているため、少しでも理想型に近づけるために、細かい調整を行います。

その後選手たちは、互いにパフォーマンスを確認しながらコンディションを整えていきます。
選手たちを仕上げた後に、私自身もリハビリを行いました。
客観的な意見を貰いながら、少しでも元の走りに戻せるように取り組んでいきます。
全員が調整を終えたところで、再び選手のコンディショニングを行います。
疲労をすぐに取ることで、その後のパフォーマンスにも大きく影響します。
また、今回の会場である熊谷市までは車で2時間以上、考えられるのは「移動による疲れ」です。
少しでも選手のパフォーマンスを落とさないために、今回の帯同では「ケアの回数」を確保することに挑戦しました。
到着後も時間を探しながら、選手の要望を実現するためにできる限りのケアを行います。
食事中にも意見交換を行いながら様子を確認して、翌日の天候やコンディションの予測を行いました。
普段ゆっくり話をすることが難しいため、このような機会は非常に貴重です。
私も選手の考えをより深く知ることができ、今後の展望が変わりました。

前日の日程が終わり自室でケアをしながら、明日のスケジュールを考えながら過ごしました。
1日選手と共に行動したことで、今まで気づかなかった特徴や、選手の考えを知ることができました。
当日調整に加わる選手もいるため、全員をしっかり仕上げるために細かい予測は必須です。
そんな事をしていたらあっと言う間に日付が変わりそうに、明日に備えて休みます。
暑さが厳しくなった当日
梅雨時期のレースは天候が読みにくく、前日の雨が残るのか、晴れて暑さが厳しくなるのか分からない状態でした。
どちらでも対応できるように準備は万全でしたが、朝から蒸すような天候、レース日としては厳しいコンディションだったと思います。

会場の良かった点としては、
- 会場全体が大きく広々と使うことができた
- ベンチが室内に確保できた
- 雨天走路が広く用意されていた
時期が良ければ、記録が狙いやすいと思う競技場でした。

到着してからは順々に選手たちの最終調整、朝の状態を確認しながら、細かな調整を行います。
帯同を重ねる毎に選手の要望は細かくなりますが、それと同時に、私の中での勝ちパターンが確立されています。
日頃のケアとは大きく形を変えたコンディショニング特化のテクニックを活用しながら、攻めの調整を施していきます。

時間ができたら選手のアップを見学して、要望があればすぐに再調整ができるように備えていました。
選手の仕上がりを確認すると、「動きが良くなっている」との声が。
私が動きを見た感じでも、仕上がりは順調そうだと思える状態でした。

毎度の事ですが、マスターズはスケジュールがゆっくりです。
空いている時間に競技を観戦しながら、サポートした選手の動きを確認しました。


グラウンドコンディションの関係もあり、PB更新は難しかったようです。
その中でも、SB更新や入賞、2冠達成の選手がいたため、チームとしては良い勝負ができたと思います。
選手からも感謝の言葉を多数いただき、私としての役割はある程度果たせたと思います。
大舞台での更なる飛躍のために
今回はマスターズの中では少し大きな舞台でのレース帯同でした。
チームメンバーから話をいただいての帯同となりましたが、個人的にも帯同したいと考えていました。
理由は大きく分けて2つ、
- 全日本マスターズでの勝ちパターンを作るため
- 来年のレースプランを立てるため
1.全日本マスターズでの勝ちパターンを作るため
この関東マスターズに出場した選手は、10月の全日本マスターズにもエントリーを行っています。
マスターズ選手の多くは全日本に照準を合わせているため、今回は100%仕上げずに出場した選手、大事を取って欠場した選手がいます。
ここで私が意識していたことは、「選手の特徴を掴むためのサポート」です。
数少ないレース前後のサポートができる機会、無理にコンディションを上げるのでは無く、
- 選手が何を意識してアップを行っているのか
- レース前後の食事や補食の内容
- 疲れが出やすいorケガをしやすい部位はどこか
レースが近いからこそ見える選手の特徴を知り、今後のケアや全日本マスターズでのコンディショニングに活かすことを意識しました。
現状での100%を出すためのコンディショニング、次のステップで100%を出すためのコンディショニング、するべき事は大きく異なります。
だからこそ、個人レベルでの【勝ちパターン】を開拓するために、視野を広げてサポートすることに意識を置いて動きました。
2.来年のレースプランを立てるため
ここからは私の個人的な話です。
今年度は膝の手術から復帰途中のため、関東マスターズにエントリーができませんでした。
来年はエントリーするだけで無く、関東大会での入賞を視野に入れてリハビリを進めています。
そこで大きな問題となるのは、「トレーナーと選手の両立」です。
タイムテーブル的には時間に余裕があり、計画の段階では選手のサポートをしながら動けそうでした。
実際にサポートをしてみると、体力的に少し厳しい部分があり、アップ前に疲労感が出そうな感じがしました。
また、イレギュラーが発生した場合などはこれ以上に条件が厳しくなり、アップ等の工夫が必要となりそうでした。
そこで私がするべき事は2つ、
- 選手を短時間で仕上げるための技術を身に付ける
- 私のコンディションを短時間で仕上げる手段を考える
勿論、選手のコンディションを仕上げること、つまり、トレーナーの役割が最優先です。
しかし、選手としてもまだ諦められないのが内心です。
両立するためには、両方の技術を上げる以外に選択肢はありません。
1年かけて試行錯誤を繰り返し、来年勝負を仕掛けに戻ってきたいものです。
また、私のグレードであるM25は人数が少ないため、入賞争いが起こるのは関東や全日本などの大きなレースのみです。
初めて同年代のレースを生で観戦し、記録を確認したところ、目標としている記録と一致しました。
今までは漠然としていた目標でしたが、実際のレースに当てはめたことで現実味を帯びました。
まずは焦らずに復帰をして、私の勝ちパターンを作るために取り組んでいきます。
今シーズンは新たな取り組みが多く、競技との関わり方が大きく変わっています。
様々な経験をして思うことはただ一つ、
「私だけで無く、関わっている選手は陸上競技が好きである」
この環境でサポートができること、競技が続けられることは当たり前では無く、巡り巡って訪れた運命だと思っています。
だからこそ、難しいと分かっていても選手とトレーナーの二刀流に挑戦する意味があります。
競技と関わる幸せを感じながら、二刀流に挑戦する覚悟が決まった2日間の帯同でした。

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