7月14日に開催された、第79回静岡県陸上競技選手権大会に、今回初の試みとして、パーソナルで大会帯同をしてきました。

ご依頼いただいたのは、PEAK Support 川端公人選手です。
度々このブログでも登場していますが、静岡県のトップスプリンター兼プロコーチです。
今回は所属チーム「Runway」でのレースとなります。
期間としては数ヶ月と短いですが、
- 私のスプリントトレーニングを依頼する
- 川端選手を継続的にメンテナンスする
- 川端コーチの受講生をメンテナンス/状況報告する
このように、
- 私のスプリンターとしての競技復帰
- 川端選手自身の自己ベスト更新
- 困っているスプリンターの手助け
3つの目標達成に向けて、定期的に連携を取り合っていました。
その中の一つとして、今回は実際にレースへ帯同することを決めました。
定期的なメンテナンスや実際の走りを見て、大まかな課題点や改善点は分かったので、初めてメンテナンスをした時よりケアの質やコンディションは大きく上げられています。
しかし、自己ベスト更新を目指すとなると、話は大きく変わります。
特に、スプリント特有の問題点として、「数本走ることでのトラブル」が挙げられます。
1本の負荷が大きく、予選→準決勝→決勝と本数が多いのが短距離種目。
よく挙げられるトラブルとして
- 全身の筋疲労/アライメント崩れ
- 足の攣り(筋痙攣)
- 筋損傷(肉離れなど)
- 体温上昇によるリカバリー遅延/疲労感
などがあります。
レース間のリカバリー時間は限られているため、疲労回復からケガの予防、パフォーマンスアップまでが求められます。
残念な話ですが、どれだけ速い選手であってもケアの質には限界があり、セルフケアを行うことで逆に消耗を起こすリスクがあります。
今回私が行動の軸にしたポイントは3つ。
- 1日を通して体のトラブルを起こさない
- 東海選手権/ベスト更新のためのパフォーマンスアップ
- その他サポートを含めた付き添い
1人の選手と常に行動を共にして、スタート直前までサポートに入る、初めての形を取りました。
レースが日曜日のため、金曜日に全身調整を行い、前日に最終調整がありました。
当日の朝最初に行ったことは、コンディションの最終チェックです。
前日の感覚、現状での疲労や動きの感覚、予選に向けた要望を確認しながら、「ケア→動き確認」を繰り返し行いました。

時間がかかるためいつものトレーナーでは行いませんが、これをすることで感覚がより研ぎ澄まされ、理想の動きに近づけることが可能となります。
調整が終わり時間が来たら、本格的にアップが始まります。
私としては特に出番はありませんが、不測の事態に備えて常に選手の動きは観察しています。
(私自身の競技に活かすこともできるため、非常に勉強になります。)

今回は普段立ち入らないスタート位置まで帯同したため、2次アップまでしっかりチェックできました。
ここでも不測の事態が起きないか、常に気を張って動きや周囲に注意していました。


予選は問題無く着順通過したので、ベンチに戻ってすぐにケアを始めます。

ここで活きたのは、先日の東海総体での帯同です。
暑い環境でのアイシングの使い方や、次の動き出しまでの流れは、今回のリカバリーに通じることが多くありました。
時間管理は川端選手に任せてあったので、要望を訊いて100%の状態を作り上げることに注力しました。
2本目のアップからは、「足の攣り」に注意しながら動きを観察していました。

特にこの日は暑さが厳しく、日陰でも蒸し暑さを感じました。
そのため、いつも以上に足が攣りやすい環境であり、最悪レース中に攣る可能性がありました。
少しでも違和感が出たら対処をできるように、常に構えていましたが、スタートまでその状態は起こらなかったので、安心して準決勝に挑めました。
準決勝は着順を取れませんでしたが、プラスの1番目で決勝へ進めました。

川端選手としては、ここで自己ベスト更新をするつもりだったので、かなり疲労感が出ていました。
「決勝を走る予定で準備をする」
方針が決まったため、100%のコンディションに仕上げます。
疲れもあってベスト更新が難しい、最悪スタートできないかもしれない状況でも、スタートラインに立つ覚悟はありました。
その覚悟は十分伝わったので、私としては自己ベスト更新を視野に入れて、スタート直前までサポートをしてきました。
決勝を走る選手の中では最年長。
年長者の経験と積み重ねてきた意地で最後の1本を走り、

4着、そして3本の中で最も良い記録で走り終えました。

つまり、東海選手権まで繋げることができました。
「スタートに立ったらスイッチが入った」
さすがトップアスリートです。
今回の結果として、
〇ケガ無く3本走り切れた
〇3本目に動きの修正ができた(徐々に調子が上げられた)
〇東海選手権への出場決定
△自己ベスト更新まで改善点あり
と言ったところでしょうか。
自己ベスト更新が達成できなかったことは悔やまれますが、今シーズンのどこかで更新できそうな予感はします。
今回は人数も少なく、常に川端選手と行動をしていたため、決勝まであっという間に終わりました。
始まる前は、経験したことの無いトップレベルのレースに、いつもの大会帯同よりも緊張していました。
終わってみて感じたことは、高校生相手でも社会人相手でも、私がやるべき事は大きく変わらないことです。
選手の要望に沿ってコンディションアップ/リカバリーを行うことは、ほぼ同じでした。
大きく違ったのは、選手の能力が高いと、現状把握ができる範囲が広くなり、要望が具体的になることです。
これが、大舞台でも平常心でメンテナンスに臨めた理由だと思います。
サポートするはずの私が、逆に選手に助けられていたのかもしれません。
高校陸上とは状況が大きく違い、私自身、成長を感じられる部分も多くありました。
そして、トップアスリートのサポートをしたことで学んだことも多く、今後の競技やサポートに繋がることができそうです。
今回のブログは1日の流れについて話をしたので、次回は、話せる範囲で私が経験した様々な感想について書いていきます。
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