目次
- ア行
アンハッピートライアド(不幸の三徴候) ウィンドラス機構(巻き上げ機構) - カ行
- サ行
十字靭帯 側副靱帯 足部の構造 - タ行
トラス構造 - ナ行
- ハ行
半月板 - マ行
- ヤ行
- ラ行
- ワ行
アンハッピートライアド(不幸の三徴候)
アンハッピートライアドは、膝関節の3つの損傷が同時に起こる外傷です。
別名、不幸の三徴候/トリプルクラッシュ/オールドトライアングルなどと呼ばれます。

アンハッピートライアドを起こしている疑いがある場合、危険性が非常に高いため、精密検査を勧めます。
3つの損傷
前十字靭帯(ACL)
- 膝の前後の安定性を保つ重要な靭帯
- 方向転換/ジャンプ着地で損傷しやすい
内側側副靱帯(MCL)
- 膝内側の安定性を保つ靭帯
- 外反ストレス(力が膝の外側に加わる)で損傷しやすい
内側半月板
- 膝のクッションの役割
- 内側靭帯と連結しているため、一緒に断裂を起こしやすい
損傷のメカニズム
- 片脚に体重が乗る
- 膝が外側に強く傾く(外反ストレス)
- 膝の捻りが起こる(内旋)
好発するタイミング
- タックル(サッカー、ラグビーなど)
- 急停止/切り返し(バスケットボール/ラグビーなど)
- 膝崩れ(接触プレー/ジャンプの着地) など
症状
- 膝の激しい痛み(受傷直後)
- 膝関節の腫れ/内出血
- 膝のグラつき感(特に前後の不安定感)
- 屈伸時の痛みや引っかかり感
- 長期間→ロッキングや慢性的な膝痛を起こす
ウィンドラス機構(巻き上げ機構)
カラダが前に進むとき、体重は踵から前方へ移動します。
その際、足の指は背屈する(上がる)ため、徐々に足底筋膜は巻き上げられ、アーチが挙上されます。
これにより足底の剛成が高められ、アーチの崩れを防ぎます。
その後、大きな推進力を生み出しながら、挙上されたアーチは元に戻ろうとします。
つまり、トラス構造によって吸収した衝撃を推進力に変え、スプリング状に蹴り出しを行う機能を指します。

十字靭帯
十字靭帯は膝関節の中にあり、「膝の捻れ」や「前後移動」を防ぐ役割を担っています。

十字靭帯の役割
前十字靭帯(ACL)
脛骨の前方へのズレを制御
着地や切り返し時に、脛骨が「前へスライド」するのを防ぎます。
特にスポーツ中は急停止/方向転換などで負担がかかりやすいため、前十字靭帯は常に働いています。
膝の捻れ(回旋)をコントロール
膝はわずかに回旋運動を起こしますが、大きな捻れは半月板損傷などを引き起こします。
前十字靭帯はこの捻れを抑制する作用が強く、急なターンやフェイント、ジャンプ着地などで重要です。
膝全体の安定性を保つ
前十字靭帯の役割が弱まることで、膝崩れや「ガクッ」と抜けるような不安定感が強まります。
スポーツ中は特に問題が大きく、パフォーマンス低下やその他障害のリスクを高めます。
後十字靭帯(PCL)
脛骨の後方へのズレを防ぐ
膝を強く屈曲する瞬間などの、脛骨が「後方へ押し出される」のを防ぎます。
例:交通事故の「ダッシュボード外傷」
膝の屈曲状態での安定性を保つ
特に膝を90°以上屈曲する際に強く働きます。
例:階段を降りる、しゃがむ、スクワット動作など
前十字靭帯と連携して膝の複合的な動きを制御
- 前十字靭帯→前方制御+回旋制御
- 後十字靭帯→後方制御+屈曲姿勢の安定性
前後の十字靭帯が連携することで、膝の前後・回旋・内外側のズレをミリ単位で抑えます。
側副靱帯
側副靱帯は膝関節の中にあり、「横方向の安定」や「膝の捻れを防ぐ」役割を担っています。

十字靭帯の役割
内側側副靱帯(MCL)
深層と浅層に分かれており、深層は内側半月板と癒合しています。
前十字靭帯と連動して、膝の安定を保っています。
膝の外反を防ぐ
膝が外側から押された際の外反ストレスに対して、最も強く抵抗します。
靭帯が伸びることで衝撃を吸収し、膝が内側に潰れないようにストッパーの役割を果たしています。
膝の靱帯の中で、最も強く横方向の安定を保ちます。
膝の捻れを防ぐ
膝が軽く屈曲した状態での外旋の制御に強く作用します。
方向転換やストップ動作のように、体重が乗った状態での回旋時に作用し、過剰な回旋動作を制御します。
結果的に、関節内構造(前十字靭帯・半月板)を守ります。
膝の横ブレを防ぐ
膝の左右方向の安定性を保つ、最も重要な靭帯です。
歩行やジャンプ時の細かな横ブレを常に制御することで、膝の関節面(関節軟骨・半月板)がズレないように保護します。
特に、膝が軽度屈曲した状態での横ブレの制御に役立ちます。
外側側副靱帯(LCL)
内側側副靱帯とは異なり、半月板とは繋がりを持っていません。
外側側副靱帯は、単独で膝外側の安定性を強く保っています。
内反ストレスに抵抗する
膝が内側から押された際の内反ストレスに対して、最も強く抵抗します。
靭帯が伸びることで衝撃を吸収し、膝が外側に開かないようにストッパーの役割を果たしています。
結果として、膝関節が不安定になることを防ぎます。
膝の内反を防ぐ
大腿骨と脛骨/腓骨の位置がズレないように保ち、内反方向(O脚)にならないように制御します。
内反方向への安定を保つことで、
- 関節軟骨の摩耗
- 外側半月板へのストレス
- 外側支持組織の連鎖的な損傷
これらを防ぐことに繋がります。
外側支持組織(ポステロラテラルコーナー/PLC)と協働して回旋を制御する
★外側支持組織:膝窩筋腱・膝窩腓骨靭帯・外側関節包など
これらの組織と連動して、膝の外旋や軽度屈曲時の複雑な回旋ストレスを制御します。
方向転換やカット動作、急停止などで膝がブレないように、安定性を保ちます。
足部の構造
つま先から踵までを足とした場合、片足だけでも、
- 骨→26個(28個)
- 関節→55個
- 靭帯→100以上
これ以外にも筋肉・腱が数多く存在し、複雑に絡み合って足を構成しています。
正しく足が構成されることで、重たい体重を2本の足で支えられ、姿勢保持や歩行が可能となります。

足部の主な役割として、
- 地面との衝撃吸収
- カラダの移動
などが挙げられます。
これらの役割に大きく関与するのが、トラス構造とウィンドラス機構です。
トラス構造
足部が地面に着いたとき、衝撃により、一時的に足部のアーチが崩れます。
同時に、足底筋膜の弾性により土踏まずが保たれ、足への衝撃を和らげるクッションの役割を果たします。
足底筋膜は足のアーチ構造を支えるため、荷重がかかった際に足底筋膜の張力によって、アーチが落ちすぎないようにブレーキをかけています。
つまり、足底に体重が加わった際に、アーチの弾性によって衝撃を吸収する機能を指します。

何らかの理由でトラス構造が機能しないと、足底筋膜に過度な伸張ストレスがかかり、上手く衝撃吸収ができなくなります。
結果として、足底筋膜の損傷だけで無く、膝や股関節、腰などの故障に繋がります。
半月板
半月板は膝関節の中にあり、「膝のクッション」としての役割を担っています。


半月板の役割
衝撃吸収(ショックアブソーバー)
ランニングやジャンプ/着地などで膝にかかる衝撃を吸収して、軟骨や骨への負担を減らします。
関節の安定性向上
半月板は膝を構成する骨の形(大腿骨と脛骨)にフィットして、膝のグラつきを抑制します。
特に回旋動作(膝の捻り)や横方向へのスライドに対しての安定性を高めるため、スポーツ中に活躍します。
接触面積を広げて負担を分散
大腿骨と脛骨が接する面を広げることで、衝撃や圧力が一点にかかることを防ぎます。
これにより、関節軟骨の摩耗を防ぐことができます。
関節液の循環を助ける
膝の動きに合わせて半月板がわずかに変形・移動することで、関節液(潤滑液)の循環を促します。
これにより、軟骨の栄養補給やスムーズな関節運動の補助を行います。
内側半月・外側半月の違い
内側半月と外側半月では構造や生理学的要素に違いがあり、損傷リスクや回復速度に影響があります。
血流の差による治癒力の違い
半月板は場所により、血液の流れが大きく異なります。
| 領域 | 名称 | 特徴 |
| 外側1/3 | 赤帯 | 血流が豊富で治癒しやすい |
| 中央1/3 | 赤白帯 | 血流が少ない→治癒しにくい |
| 内側1/3 | 白帯 | 血流がほぼ無い→自然治癒しない |
内側の白帯は血管が乏しく、関節液から栄養を貰っています。
そのため、損傷が起こると自己修復がほぼ不可能です。
また、少しの負荷を繰り返すだけでも亀裂が入りやすく、断裂を起こしやすくなります。
コラーゲン線維の方向による断裂リスク
半月板の構造は複雑で、
- 円周方向の線維(フープ線維)
- 放射線の線維(ラディアル線維)
これらの線維が絡み合っています。
特に重要なのは円周線維で、膝に荷重ががかかった際の「半月板の外ズレ」を抑制します。
しかし、
- 急な膝の捻れ
- 圧縮+回旋の同時ストレス
これらのストレスがが加わることで、円周線維の断裂が起こりやすくなります。
(縦断裂やバケツ柄断裂が起こりやすい)
また、内側線維(白帯)は線維が細く密度も低いため、より断裂が起こりやすくなっています。
形状/固定性の違いによるストレス集中
| 内側半月 | C字状、動きが少ない、固定が強い | 逃げ場が無く、捻れを直接受けやすい |
| 外側半月 | O字状、動きが大きい | ズレが起こり損傷しにくいが、強い外力で一気に断裂しやすい |
特に内側半月は、
- 回旋時に圧縮が集中
- 血流が乏しい
- 動きが少なく衝撃を回避できない
などの条件が重なり、慢性的な微細損傷→大きな断裂を起こしやすくなっています。

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