電話をかける ネット予約

膝手術後の腫れとアイシングの考察

スプリンターの半月板断裂日記、11回目は番外編【膝手術後の腫れとアイシング】について、私なりの考察を行います。
手術後に痛みや腫れの緩和を目的に行っていたアイシング、この効果がどれ程回復に影響を及ぼすのかを、身をもって経験することができました。
その際に、一般論今までの技術と異なる手順で取り入れたことが、大きな効果を生んだと考えられます。

ケガ直後から行ってきたことを、時系列に沿ってまとめてみます。
※残念ながら写真に映るような腫れ方をしなかったため、写真が少なめです。

ケガ直後から決めていた方針

半月板損傷が判明してからの方針として、「PEACE&LOVE」の理論を参考に痛みの緩和を行っていました。
端的に言うと、痛みの原因となっている炎症を抑える消炎鎮痛剤アイシングを行わずに、別の方法で鎮痛を図りました。
そこまで腫れも強くならず、痛みがあっても鎮痛剤の服薬のみで済んでいたので、結果的にアイシングを行うことはありませんでした。

そもそもですが、

  • 24時間体制でマイクロカレント「AT-mini CHARGE」を使用
  • 寒さが厳しいため膝を冷やしたくない
  • 温めた方が楽になる
マイクロカレント

以上の点から、アイシングをする考え自体があまり思い浮かびませんでした。

痛みがあっても温めることを積極的に

受傷直後の痛みが落ち着き始めてからは、カイロ入浴などを活用して、膝を温めることを積極的に行いました。
つまり、アイシングとは真逆の行為を行いながら、痛みの緩和を図りました。
これには明確な理由があり、膝が冷えることにより動きが硬くなり、歩行や屈伸運動に制限がかかっていたからです。

この状態で痛みを抑えるためにアイシングを行うと、より関節が硬くなり、より動きに制限がかかります。
勿論、温めることで血流が増加し、腫れや痛みを助長するリスクはありました。
それでも、動きの制限が無くなることのメリット、具体的には、リハビリのバリエーションが増やせること動くのが楽になることが予測できました。

温熱療法の結論は、血流増加による痛みの誘発は起こらず、むしろ痛みの緩和に大きく役立ちました。
この頃から、一般論である「RICE処置」や発展形の「PRICES処置」などの意義、そして、炎症に対するアイシングの適応について、疑問を抱くようになりました。

手術後 初めてのアイシング

結果的に、手術を受けるまではアイシングを行うことは一度も無く、初めて膝を冷やすことを行ったのは、術後の腫れが出た時でした。

最初に必要性を感じたのは1回目のリハビリ後、荷重をかけたことで痛みが起こり、少し腫れと熱があるように感じました。
激痛まではいきませんでしたが、昼食時に看護師さんへ相談し、保冷剤によるアイシングをしました。
カバーを被せて保冷剤を使用したので凍傷も起こらず、持続的に冷やすことができました。

アイシング

入院中は空き時間もリハビリを行っていたため、「リハビリ→休息/アイシング→リハビリ→休息/アイシング」の流れで、動くorアイシングを継続的に実践していました。
その甲斐もあったのか、激痛レベルまで症状が悪化することも無く、継続してリハビリができていたと思います。
一方で、冷やすことが回復にどこまで影響を及ぼすのかは分からないのが実際です。後に実証することができました。)
また、氷を使ってガッツリ冷やすことができなかったので、本当の効果は真偽を問われるところです。

※抜糸前の膝
膝蓋骨(膝のお皿)の輪郭がハッキリしない程の腫れを起こしていました。
私の膝は思ったより腫れが少なく、膝の傷も比較的キレイだったようです。

手術患部

リハビリとアイシングの並行

退院後のリハビリでは、仮説を立てて積極的にアイシングを活用することが増えました。

私が立てた仮説

今までアイシングを敬遠してた理由、言い換えれば、アイシングのデメリットを挙げると、

主にこの2点があります。
しかしこのデメリットは、一般的なスポーツ障害(肉離れやシンスプリントなど)、言い換えると、手術が不要なレベルのスポーツ障害が該当すると考えました。
今回は手術レベルのスポーツ障害、組織損傷は大きく、肉離れやシンスプリント以上の痛みや炎症が起こっているとも考えられます。

仮説を基に取り組んだ方法

【最大限まで腫れを起こした状態でアイシングを行う】

これが、私が退院後に実践したアイシングの方法です。
もっと細かく書くと、

【意図的に痛みや腫れを誘発するまでリハビリを行い、
アイシングのデメリットを打ち消す】

これが想像以上の効果を生み出し、最初の1ヶ月のリハビリが順調にできたと考えています。

項目毎にメリット/デメリットを分別します。

メリットデメリット
リハビリ・患部の機能回復
・患部の負担を減らす
・負荷をかけることによる痛みや腫れ
アイシング・痛みや腫れの軽減・組織回復の遅延
・冷えによる機能制限

このように、リハビリとアイシングは相反する行為であることが分かります。

私が狙ったのは、

  • リハビリでかけられる最大限の負荷をかける
     →一時的に痛みや腫れが強く起こる(マイナス要素が大きくなる)
  • アイシングで腫れた膝を冷やす
     →次のリハビリまでに膝の腫れが戻る(マイナス要素を打ち消す)

これを繰り返す事で、痛みを抑えながら段階的に負荷をかけるリハビリが組めると読みました。
安全な範囲でパワーウォークやウェイトトレーニングを行うと、案の定膝の腫れが出てきました。
かなりギリギリを攻めて負荷をかけるため、リハビリ後は歩くだけでも痛みがあり、腫れにより膝の動きに制限がかかりました。

その状態ですぐにアイシング行い、氷が溶けるまで冷やしっぱなしで過ごしました。(通常は15分程度を目安に行います。)

更に就寝時は工夫をして、ケア後にマイクロカレントとアイシングを活用しました。
マイクロカレントとアイシングを組み合わせることで、治癒促進が見込めることは事前に知っていました。
体力が落ちて疲れやすいため、膝を冷やしたまま寝てしまうこともありました。

マイクロカレント アイシング

この方法を繰り返した結果

リハビリ後は明らかに状態が悪くなり、次の日にリハビリができるのか分からない状態でした。
その心配とは真逆に、次の日は朝から調子が良く、リハビリでは十分に狙った負荷がかけられました。
就寝前の明らかな腫れが無くなり、アップをすることで徐々に動きが出てきます。
実践当初は、ここまで回復やパフォーマンスに影響するとは想定していませんでした。

この経験から得た私の考察としては、

「アイシングは、使い方次第では回復を促すことが可能となる」

今回初めて実践した、術前の方針である「PEACE&LOVE」の効果は大きいことは分かりました。
一般的なスポーツ障害においては、炎症を抑えることがリカバリーに影響を及ぼすと思います。
極力アイシングや消炎鎮痛剤を使わないことが、予後を左右すると身をもって実感しました。

しかし、今回の様に、腫れや痛みが強いスポーツ障害(手術後や重症の捻挫など)については、リハビリを順調に進めるためにも、炎症を抑えることが重要であると考えました。
恐らくカギになるのは「患部の血流」、これを操作することができれば、痛みや回復速度のコントロールも実現可能ではと思います。

勿論、全ての方にこの考察が当てはまるとは思いませんし、危険な手段を選択したと今でも思っています。
一歩間違えれば、振り出しに戻りかねないケガをしていたかもしれません。
一般論に身をもって真っ向勝負をする形でリハビリをしましたが、想定以上の成果に満足している反面、もう少し精度を高めるためにも、今後も繰り返し考察と実験が必要です。

次回は通常のブログに戻し、「スプリント動作を再獲得するためのリハビリ」についてを紹介します。

関連記事

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

RETURN TOP
電話をかける ネット予約・お問い合わせ