目次
スプリンターの半月板断裂日記、10回目は【手術後1ヶ月間のリハビリ】を深掘りしていきます。
最初の1ヶ月は、「jogができるまで復帰できるのか」に挑戦、少しずつではありますが、退院してからは順調にリハビリが進んでいました。
積極的なパワーウォーク
退院直後から有酸素運動を率先して行ってきましたが、松葉杖が外れてからは、段階的に強度を上げていきます。
今までのリハビリでは、歩く速度を調節しながら、徐々に早歩きへ、そしてjogへ移行することをメインにしていました。
そこで今回は目的を変更して、新たに「パワーウォーク」を採用しました。
パワーウォークの目的
パワーウォークは、全身運動を目的とした有酸素運動です。
腕振りは肩甲骨から大きく、骨盤から脚を前に出して、全身の筋肉に刺激を入れるイメージで歩きます。
これにより、jogより強度は落ちますが、安全かつ通常のウォーキング以上の負荷をかけることができます。
ケガ前のウォークより負荷がかかる感触があり、終わった後の疲労も、筋肉を中心に起こってきました。
膝に負荷がかけられない期間は、時間を見つけて少しでも長く歩くことを意識しました。
そしてリハビリの最後には、必ず症状と進捗確認を行いました。
- 1本目(左):術後10日、小走りができるように
- 2本目(右):術後12日、よりjogに近い動きに
少しずつ変化が起こり、有酸素運動としての強度は上がりました。
まだ体重をかけることは難しく、すり足気味のjogため、リハビリとしてjogを行うことは止めておきました。
ここで気になったのは、「膝関節の不安定感」です。
体重を乗せることはできますが、膝の支えが弱く、片脚の瞬間にグラつきが発生しました。
パワーウォークの強度を上げるために
膝関節の不安定感が気になり始めて、一番最初に見直したのは「ウォーミングアップ」でした。
実のところ、手術後はウォーミングアップにも制限がかかり、少し物足りない状態でパワーウォークを行っていました。
動ける範囲が広がったので、今まで通りヒップバンドやEMS「RUCOE RUN」、ゴムボールなどを活用した筋刺激。
それ以外に、膝への負担を減らすためのモビリティーエクササイズやアクティブストレッチなどを取り入れ、十分な準備をしてからパワーウォークへ。

ウォーミングアップの手順などを変えたことで、よりjogに近い動きができるように。
まだ膝の怖さがあり、左右のアンバランスや不安定な走りをしていますが、以前よりスムーズに走れる感覚は出てきました。
ここで気になったのはストライドの短さ、地面を押すことができないため、必然的にピッチ走法でのjogとなります。
この点は機能回復を待ちつつ、少しずつ改善をしていこうと考えました。
※術後約半月経過
次第にウォークでの安定感が増し、試しに1kmだけjogをしてみました。
パワーウォークより早いペースですが、jogと言うにはまだまだのペース。
そして、少しのグラつきで痛みが出るため、jogは危険と判断してウォークに切り替えました。

この段階のリハビリ計画としては、【筋力強化>jog 安定感が出せるまではパワーウォークを継続】。
まだ先は長いですが、4ヶ月半ぶりにjogができたのは嬉しかったです。
ウェイトトレーニング再開
術後3週間、このタイミングでウェイトトレーニングを再開しました。
時期としては、アップを変更したパワーウォークを実行していた頃です。
可動域制限があるため、まずはクォータースクワットから。
軽い重量から動きを作り始め、初日は60kgまで。
しゃがみ込みや股関節の引き込みはまだできないものの、股関節伸展(フィニッシュ)は、術前よりも怖さがなくできました。
できるリハビリが増えたからには、積極的に実践していきます。
リハビリ計画を細かく立てながら、定期的にウェイトトレーニングを入れていきます。
2回目(3日後)は殿部での支えができるようになり、股関節の引き込みが容易になりました。
重量も70kgに上がり、より体に負荷がかかるのが分かります。
膝の状態としては、痛み<不安定感が気になり、満足にトレーニングできているとは言えません。
それでも、不安定感を減らすためにはウェイトトレーニングは大切です。
かなりギリギリを攻めながらにはなりますが、ここがプロトレーナーとしての腕の見せどころでもあります。
大切にしたのは、「無理はしないこと」でした。
ケアのバリエーションを追加
術後とケアの方針はほぼ同じで、
- 道具を活用したマッサージ
- 入浴や超音波治療器による温熱療法
これらに追加して、制限が無くなった部位を中心にストレッチ。
筋力強化まではできませんが、筋力維持程度には繋がると思いながら取り組みました。
ケガをしてからストレッチが難しくなり、気づいたら全身が硬まりやすくなりました。
動くと全身が攣りやすくなり、目的とする動作に制限がかかる自覚がありました。
元々体は硬い自覚があったので、これを機に、柔軟性の改善をしても良いかと思いました。
そしてもう一つ、新たなケアを導入したことで、患部のケアが大幅に捗りました。
以前に購入していた「フロスバンド」、以前は筋肉の張りなどを取る目的でケアに活用していました。
ケガをしてから使っていませんでしたが、ある時突然思い出し、(これは症状の改善にピッタリでは?)と考えました。

フロスバンドのメカニズムとして、ファッシア(筋膜)の滑りを改善→疲労感の軽減や可動域改善を促します。
筋膜の癒着(隙間が無くなる)が起こることで、可動域制限や血流の低下などが起こります。
この症状、まさに私の膝に起こっている症状に近いと思いませんか?
血流が乏しい半月板に血液を送りやすくしながら、関節の動きを改善が見込めそうだと思い、試してみました。
これがまさかの大正解、他のケアより短時間で症状が取れ、動きがスムーズになる感覚が戻りました。
正直、ケガ直後から取り入れるべきだったと後悔しながら、ここから積極的に使い始めました。
術後1ヶ月の成果
上記のように、機能回復は思ったより順調に進みました。
完全復帰までは遠いものの、兆しが見えたのが大きな成果です。
100%動くことはできませんが、中部実業団陸上へ帯同することもでき、PEAKSのトレーナーとしてサポートもできました。

そして、1ヶ月目の目標である「jogができるまで復帰できるのか」。
痛みや違和感は出るものの、このレベルまでjogができるように。
5ヶ月走れなかったため、フォームは大きく崩れていますが、手術前よりは動きが大きくなりました。
少し攻めて、軽く流しをしてみました。
これはスタートから踏み込みが甘く、まだスピードを上げるには時間がかかりそうです。
ここまで動くにはもう少し時間がかかると思っていたので、成果としては十分と言えます。
手術後は基礎づくりを中心に、一度崩れた身体能力を戻す作業からスタートしました。
思った以上に様々な要素が大きく崩れ、元に戻すには時間がかかるor完全には元に戻らない状況だと思います。
特に、患部の機能回復→フォーム修正については、相当難易度が高いと早くも自覚。
ただ、1ヶ月である程度リハビリの方針が定まったので、ここからは慎重かつ攻めながらリハビリ計画を立てていきました。
次回のブログは番外編、「膝手術後の腫れとアイシングについての考察」、劇的に効果があったアイシングを紹介しつつ、私なりの考察を公開したいと思います。
リハビリ・手術の時系列
受傷直後:スプリンターが半月板断裂を起こした話
整形外科受診後〜15日:半月板断裂初期に行っていたリハビリ
16日〜30日:半月板断裂 積極的リハビリと精密検査の決断
31日〜41日:半月板断裂と円板状半月板
42日〜61日:半月板断裂 思い切って攻めたリハビリを行う
セカンドオピニオン/手術前リハビリ:半月板断裂 セカンドオピニオンと手術前リハビリ
手術前の準備/不安だったこと:半月板断裂 手術前の準備 不安だったこと
入院/手術の話 退院後のリハビリ:半月板断裂 入院/手術の話 手術後のリハビリ
手術後1ヶ月:半月板断裂 手術後1ヶ月間のリハビリ
術後1ヶ月②:本ブログ
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