院長のレース振り返りブログ、全日本マスターズ 200mに出場した話です。
半月前に200mでレース復帰を果たし、練習を兼ねてもう一本200mにエントリーをしました。
レースに出場できるか分からない状況
このレースにエントリーをしたのは、まだ復帰戦が見えていなかった6月、復帰への覚悟を決めるためにエントリーをしました。
スムーズにリハビリが進んだため、無事にこの要素はクリアできました。
問題となるのはもう一つ、トレーナー活動とレースの両立ができるかです。
普段肩書きとして「治療家スプリンター」と名乗っていますが、両方にトライしたのは今回が初めてでした。
このレースまでの日程として、
- 前週:U20日本選手権帯同、合宿救護
- レース週:週末の休診に合わせて仕事を詰め込む、合間を縫って調整練習
- 大会期間:2日間選手のサポート、合間を縫って最終調整+ケア
基本的にトレーナー活動はこのような姿勢で行うため、身体への負担が大きくかかります。
追い打ちをかけるように、2日目は大会中止レベルで天候も悪くなり、低気圧による体調の悪化も起こりました。

大会中止後に調整を少しだけ行いましたが、ご覧の通り悪条件。
いつも以上に疲れがあり、状態としては万全とは言いがたいコンディションです。
疲労や寝不足が重なっていたためケガのリスクが高く、初日から出場自体を諦めていました。
特に危険だったのは「膝の違和感」と「腰痛」、両方とも悪化のリスクがあり、上手く付き合っていかなければなりません。
翌週には本命の100mが控えていたため、無理して今回走るのは避けたいと考えていました。
時間が取れる限りセルフケアを行いましたが、狙っていた通りの効果は出せませんでした。
想定した以上に疲れが残り、自力では取れない部位も多くありました。
その中でも工夫をして、少しでも効果が上げられるように挑戦しました。

逆境こそ最大のチャレンジ
身体の負担があるからこそ、挑戦できることもあります。
今回も静岡マスターズと同じく、記録を狙っていないため調整をほぼ行わず、疲れが残っている状態での出場を決めました。
目的は、
- 全国の舞台を経験すること
- 修正中のフォームを確認すること
- 時短でコンディションを整えること
など、試したいことは山程あります。
ケガをしないことを前提に、出場を諦めながらも計画を立てました。
時短Upの効果/Upの中で疲れを取る
一番大きな挑戦は、短時間でコンディションを整えることでした。
理由としては、
- 前日までのケアが十分にできていない
- 朝4:30起床のためゆっくり動けない
- 会場入りからコールまで1時間も取れない
朝のコンディションがマイナススタートな上に、レースまでにプラスに仕上げなければなりません。
そこで前回のレースから反省を活かし、時短で仕上げるためのアップを組み直しました。
形としては、通常のUpから必要な要素を抜き出し、道具を使いながら効率的に仕上げる方針です。
それに加えて、筋温を素早く上げて冷やさないために、20度を超える気温の中でも、
- ロングタイツ/ジャージの着用(基本薄着にならない)
- ホットジェルの活用
- アップ場所を日向に確保
など、少しでも無駄を出さないように対策を行いました。
アップのポイントとして絞ったのは、
- 膝の違和感/腰痛の緩和
- 全身のしなやかさを出す(筋や関節の硬さを取る)
- 殿部の刺激/股関節の可動域確保(出力強化)
前日までに負担がかかっている部位を短時間でケアしつつ、とにかく「動きを出す」ことに意識を置いてUpを始めました。
コール後は待機時間が長く、動くこともできないため、1次Upでほぼ仕上げる必要があります。
そのため、1次Upでは走ること以上に、全身の動きを作ることに重きを置き、コール後、トラックに入ってからの2次Upで走りをまとめる方向を取りました。
結果としては、静岡マスターズよりも少ないアップで動きを出すことができたため、抜き出した要素は合っていたようです。
次項に続きますが、私の走りは、股関節の動きを出せるかが記録に直結します。
もし時間が取れない場合や、2本目を走るときは、今回のアップがモデルとして活かせそうです。
また、この型が定着すれば、疲労感があったとしても仕上げることができ、選手のサポートでも活かすことも可能だと思います。
そして、静岡マスターズと決定的に違ったのは、「膝のテーピング」です。
テーピングを活用することで不安無く走ることができたものの、本来は膝の動きを制限するため、無しで走りたいところです。
半月で調整を重ねたところ、テーピングをしなくても走ることはできますが、レース後は違和感が残ります。
レース自体は問題無く走れそうだったので、思い切ってUpからテーピングを外してみました。
結果としては、外して走っても変化が無かったので、今後はテーピングをしない方向で練習やレースをしても大丈夫かもしれません。
ストライドを意識した加速
走りの技術については、前回の200mから修正を加えました。
得意とするスタートの出方を変え、「ピッチで素早く出る」形から「一歩目から押してストライドを出す」形へ変更しました。
ケガをきっかけに、膝の伸展に対する機能的破綻と心理的恐怖があり、ブロックを押すことができなくなりました。
代償としてピッチ走法がメインとなり、ストライドが極端に短く、トップスピードが伸びない動きとなりました。
まだ押しが弱いため、狙った加速スピードまで出せないものの、静岡マスターズよりは加速の流れがスムーズにできた気がします。
スタートの速度自体は遅くなっていますが、コーナー抜けまでのスピード感や加速感は、明らかに今回が上回っています。
今回は200mのため何とかなりましたが、これが100mでは確実に出遅れます。
100mであれば、速さを出しつつも押して加速する感覚を、200mであればよりスムーズな加速とトップスピードの維持が求められます。
このコツを覚えつつ、より確実に押すためのストライド走を身に付けたいと思います。
併せて、ロング走などを取り入れながら、距離を伸ばしても崩れないフォームを習得することもカギとなります。
※押す感覚を身に付けるために、川端コーチのレッスンで牽引走を行いました。
これが特に分かりやすく、体の使い方(特に体の角度)を覚えるのに最適でした。
△ 後半の腕振り
狙っていたフォーム修正が形になり始めた反面、別の課題が浮き彫りになりました。
相変わらず腕振りは力みがあり、上半身を使った反発を使うことができていません。
原因として思い当たるのは、上半身のトレーニング量が落ちたことです。
手術後は膝のリハビリに重点を置いていたため、ベンチプレスなどを行う機会が少なくなりました。
私の走りは、苦しくなると肩が上がり、上半身の動きが小さくなります。
結果的に肩甲骨の動きが小さくなり、ストライドが伸びないことにも繋がります。
課題としては、上半身の筋力アップと脱力した腕振りの習得になりそうです。
復帰シーズンを終えて
全日本マスターズ後もレースにエントリーしていましたが、体調不良やケガにより出場することはできませんでした。
復帰シーズンで100mを走ることは叶いませんでしたが、2レースを終えて、少しだけスプリントの本質が分かったような気がします。
実際にレースへ出場することで、選手たちの苦悩やスプリント競技の難しさを肌で感じ、トレーナーとしてどうあるべきかを認識することに繋がりました。
そして、手術を乗り越えて競技に復帰する過程を経験し、競技ができない苦しみや、乗り越えたときの喜びを知りました。
苦しいことが大半の今シーズンでしたが、今では全部が良い経験だったと思えるようになりました。
来シーズンはこの経験を糧にして、スプリンターとトレーナーの両立を成し遂げ、PEAKSに貢献できる活動を繰り広げたいと思います。
200m 25.98(-0.1)
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